木魚
木魚とは、梵音具といわれる仏具の一種で、禅宗や天台宗、浄土宗などで読経の際にポクポクと打ち鳴らすことで、リズムを整えます。また、眠気覚ましの意味もあり、木魚が魚の形をしているのは、眠る時も目を閉じない魚が、昔は眠らないと信じられていたことに由来します。
木魚の原型は禅寺で使われていた「魚板」というもので、京都府宇治市にある黄檗宗の本山、黄檗山萬福寺などで見られます。文字通り魚の形をした板ですが、魚の形をしているのは、魚は日夜を問わずに目を閉じないことから、「寝る間を惜しんで修行に精進しなさい」という意味があります。
魚板:黄檗山萬福寺
日本では木魚は室町時代から存在することが確認されていますが、本格的に使用するようになったのは、日本における黄檗宗の開祖であり、江戸時代の始めに中国から来た隠元禅師です。
この隠元禅師は、木魚を叩く習慣だけでなく、自身の名前が付けられた「インゲン豆」を日本に持ち込んだ人物でもあります。
木魚は完成までにはかなりの長い年月がかかり、特によい音を出すためには3年~10年の間彫った木を乾燥させなければなりません。
現在、木魚の生産は日本では愛知県のみで、お寺で使用するものは愛知県の愛西市だけでのみ製造されています。