唐木仏壇とは?唐木仏壇の代表的な産地
唐木とは
「唐木」という言葉は、遣唐使が持ち帰った珍しい木材という意味で付けられ、奈良時代から使われ始めました。
元々は黒檀・紫檀・鉄刀木(タガヤサン)などの唐木三大銘木をはじめ、東南アジア産で中国経由で輸入された木材のことを指していましたが、現在ではアフリカ・中米・南米からの輸入材で、硬質で色の出る広葉樹なども含めて唐木と呼んでいます。
紫檀
唐木仏壇とは
唐木仏壇とは、元々は黒檀・紫檀などを材料として作られた仏壇のことを指していましたが、欅(ケヤキ)や桑(クワ)、栓(セン)、桐(キリ)、楡(ニレ)、楢(ナラ)、楠(クスノキ)、屋久杉などの国内の銘木を材料として作られた仏壇も唐木仏壇と呼ばれています。
最近では白木に木目調の塗装や印刷、またはシートを貼ったものも唐木仏壇として扱われることがあります。
代表的な唐木仏壇の産地
東京唐木仏壇
東京唐木仏壇とは、東京都や埼玉県で製造される唐木仏壇のことで、1982年に東京都から伝統工芸品の指定を受けています。
東京唐木仏壇のルーツは江戸時代の元禄年間に当時の江戸指物師が仕事の合間に桑や欅などの日本産の銘木で仏壇を作ったのが始まりとされており、現在では欅・桑・屋久杉などの国内銘木や黒檀・紫檀・鉄刀木などの唐木銘木を材料として、剣留、ほぞ組などの指物技法を駆使して堅牢に仕上げられていますが、一般的にはあっさりとした作りが特徴となっています。
大阪唐木仏壇
大阪唐木仏壇は、大阪府で製造された唐木仏壇のことで、大阪唐木銘木仏壇ともいい、1985年に大阪府知事によって伝統工芸品に指定されています。
大阪の仏壇の歴史は古く、仏教が伝来した6世紀頃といわれ、大阪仏壇(金仏壇)の歴史は16世紀に石山本願寺が現在の大阪城の場所に建立された頃とされています。江戸時代に入ると寺請制度によって仏壇を持つ家が増えたので船場の職人が、杉・松・檜などで庶民向けの簡易な仏壇を作ったのが大阪仏壇の始まりとされています。またその頃に大阪には東南アジアから唐木材料が輸入されるようになり、指物技術も発達したことから唐木仏壇も制作されるようになったとされています。
大阪唐木仏壇の特徴は仏壇の内部が三方金で両脇の金箔が板ガラスで保護されていること、胴板が桟木によって固定されており、桟木を外すと胴板の取り外しが自由になることなどが特徴として挙げられます。
徳島唐木仏壇
徳島唐木仏壇は、徳島県で生産された唐木仏壇のことです。
徳島県は元々、家具や鏡台の一大産地であり、仏壇の材料も豊富で木工技術も確かであったことから仏壇の産地としての立ち上がりは早かったとされています。
徳島は大阪と密接なつながりがあり、江戸時代から歴史を有する大阪唐木仏壇の技術が徳島に伝わり、徳島唐木仏壇の発展の基礎になりました。
徳島唐木仏壇
静岡唐木仏壇
静岡が仏壇の産地化したのは1947年から1948年ごろのことで、鏡台や針箱や下駄の製造業者が東京や名古屋などの仏壇需要が増加するにつれて仏壇の製造業に転進したことで発展しました。
特徴は唐木の杢張り(突板)仏壇で上置き仏壇などの普及品が多く製造されています。
静岡唐木仏壇