お茶を出すときのマナー 法事の時に住職にお茶を出すタイミングは?
法事の際、来ていただいたご住職にお茶の一杯を出すことは、ご足労いただいたことに対するねぎらいであり、日本独自のおもてなしの文化だと思います。
では「いつお茶を出せばいいのか?」と聞かれると、どのタイミングで出すのがいいのかをはっきり答えられる人は少なくありません。またお茶をいつ出すかという疑問は、意外と人に聞けそうで聞きにくい質問であり、ましてやご住職に直接聞くのは少し気が引けるという方は多くいらっしゃると思います。
そこで私たちは、ご住職に直接「お茶はいつお出しすればいいですか?」という質問をしてきましたので結果を見ていただきたいと思います。
ちなみにお聞きしたご住職のうち回答をいただけたのは、10人なのでサンプルとしては少し少ないかもしれませんがあらかじめご了承ください。
住職にお茶を出すタイミングは?
まずはじめに、言っておきたいのはこの質問をした際に、すべてのご住職が声を揃えておっしゃったことは、「そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ」ということでした。
ただ、こちらとしてもそういうわけにはいかないので、敢えて言えばいつ?ということでお答えいただいています。
その上での回答ですが、まずは
来たらすぐに出してほしい・・・一人
理由としては、「お経を上げる前にお話をしたいのでその時に出してもらえればありがたい、お経を読む前に喉を潤すことができるので」とのことでした。
次に、
お経の後に出してほしい・・・二人
「お経の後に説法をするのでその時に出してもらえれば、お経の後は喉が渇くので助かります」というご意見でした。
で、残りの7人は何度聞いても、「本当にいつでもいい、どっちでもいい」ということでした。
あまりしつこく聞くわけにもいかないので何とも言えない結果になってしまいましたが、つまりはお茶を出す側が一方的に気を遣っているだけということなんですよね。
で、結局どうすればいいのかというと、「来られてすぐに説法される方」にはそのタイミングで、「お経を上げた後に説法をされる」ならその時にお茶をお出しすればいいのではないでしょうか。
お茶の出し方
では実際にご住職にお茶を出す際、どのようにお出しすればいいのでしょう。
お茶を出すことは日本のおもてなしの心を示す文化です。
出来るだけおいしく飲んでいただくためには、おいしいお茶の入れ方を知っておくことが必要になります。
お茶をおいしく入れる方法
お茶を入れる前に、まずは茶碗にお湯を入れて温めておきます。こうすることによって入れたお茶が冷めにくくなります。
次に急須にお茶の葉とお湯を入れて約1分ほど蒸します。この際、お茶の種類によって入れるお湯の温度を変えます。例えば、番茶やほうじ茶なら100℃、煎茶は70~80℃、玉露は50~60℃といったように茶葉の種類による特徴や引き出したい成分によって最適なお湯の温度があります。
お茶を蒸らしている間に、先ほどお湯を入れた茶碗が温まっているのを確認してから中のお湯を捨てます。
お茶は一番最初に入れたものが濃く、だんだん薄くなるので茶碗にお茶を入れる時は一つのお茶碗に一気に入れてしまわずに少しずつ順番に茶碗に注いでいき、お茶の濃さが均等になるようにします。
また、運ぶ時にこぼさないようにお茶の量は茶碗の7分目くらいにします。
お茶を出すマナー
お茶を運ぶ際は、必ずお盆に乗せて運びます。お盆に乗せる際は茶托の上に乗せた状態でなく、茶碗と茶托はそれぞれ別々に乗せて運び、お出しする直前に茶托の上に乗せます。
茶碗を茶托の上に乗せた状態で運ぶと移動中にお茶がこぼれてしまい、飲む時に茶碗に茶托がくっついてしまい、お茶を飲む方に不快な思いをさせてしまう可能性があるからです。
そしてお茶を出すときは正面からではなく、ご住職の右側からお出しするようにします。
お出しする直前に茶碗を茶托の上に乗せて、この時に茶托の木目を相手と平行になるようにしてお出しするとなおよいです。
以上、参考にしていただければいいかと思います。
最後に一つ、ご住職から貴重なご意見をいただいたので紹介すると、
お盆の時期はお寺が一年で一番忙しい時期であり、僧侶の方は多い日は1日に10件以上も檀家さんを回られることがあります。
檀家の方は、暑い中足を運んでいただいたということで、冷たいお茶を出していただくことは大変ありがたいのですが、行く先々で冷たいお茶を飲み過ぎるとお腹を壊してしまうので、夏場に関してはPETボトルで提供していただければ、その時に飲めなくてもあとでいただける、ということでした。
檀家の立場からすれば、PETボトルで出すことにはまだまだ抵抗感がありますが、一つの意見としてご紹介させていただきます。