お釈迦様の生誕地が深刻な大気汚染

お釈迦様の母親であるマーヤ様は、お産のために実家へ里帰りをする途中に立ち寄ったルンビニの花園でお釈迦様を生みました。

ルンビニは現在のネパールに位置し、マーヤー・デーヴィー寺院を中心にお釈迦様が産湯に使ったとされる池があり、1997年にユネスコの世界遺産に登録されています。

 

お釈迦様が産湯につかったとされる池

 

このルンビニの大気汚染がかなり深刻だそうです。

2017年1月の1ヶ月間、ルンビニで観測されたPM2.5は173.0035マイクログラム/㎥でこれはWHO(世界保健機関)が設定したPM2.5の安全基準25マイクログラム/㎥を大幅に超えています。

ちなみにPM2.5とは、粒子状物質(=Particulate Matter)で大きさが2.5マイクロメートル以下のものです。

粒子サイズが非常に小さいので大気中に長時間浮遊していられるために、発生源から離れた場所でも汚染の影響を受けるという特徴を持っており、日本でも偏西風に乗って中国から飛来したPM2.5が非常に問題になっています。

 

 

ルンビニの大気汚染は、ルンビニや近隣地域の工業化に伴う汚染物質の排出が原因で、科学的研究も、ルンビニや近隣地域の悪化する汚染状況を印象付けています。

インド熱帯気象研究所がWHOと協力して行った研究の報告書によると、「汚染度の高いヒンドゥスタン平野から国境を越えて運ばれるものと、気温の逆転によって地域に取り残された工業汚染の、複合的な影響が冬季の深刻な汚染を起こしている」とのことです。

さらに大気汚染の問題によってルンビニ保護区内での考古学的遺跡や社会的文化的価値が危険にさらされています。

 

ほこりまみれの植物 写真:BBC

 

聖地を訪れる旅行者や僧侶は空気を吸うことに不安を感じていて、息を吸うだけで咳が出るほどひどく、飛んでくる粉塵のせいでこの10年、肺や皮膚に関する病気が大幅に増えています。

 

ルンビニは仏教徒にとって主要な巡礼地ですが、瞑想する僧侶たちの多くはマスクを付けて瞑想しています。

 

 

マスクをつけて瞑想する僧侶 写真:BBC

 

経済の発展と遺産の保護の両立。

非常に難しい問題です・・