華鬘(けまん)

お寺を荘厳する仏具には様々なものがありますが、吊り下げて飾るいわゆる「吊仏具」にはどんなものがある?と聞かれれば、瓔珞や吊灯篭などがまず挙げられます。そんなお寺を飾る吊仏具の中で今回は、一般的にはあまり馴染みのない「華鬘(けまん)」について書きたいと思います。

 瓔珞

 

 吊灯篭

 

華鬘

 

華鬘は、もともとは生花で作られた花環で、身に着けるもので合ったものを僧侶に対してお布施されたものだったと考えられています。それが仏さまを祀る仏堂の飾りへと変化し、金属製や木製・皮製のものが作られるようになりました。

金属製の華鬘は、うちわ型で上に紐で吊るすための環がついていて、花鳥や天女の彫刻がされています。

 

華鬘で有名なものとしては、平安時代の代表作、京都・東寺の「迦陵頻伽文牛皮華鬘」(奈良国立博物館蔵)や岩手県中尊寺金色堂の「金銅宝相華文透彫華鬘」などがあります。

 中尊寺「金銅華鬘」