仏壇の起源2(魂棚説・位牌棚説)
前回、「仏壇は寺院を小型化したもの」という話をしましたが、これは仏教的な観点での見方であり、先祖供養や精霊供養の側面から「魂棚(たまだな)」や「位牌棚(いはいだな)」が変化したものだという説もあります。
魂棚
魂棚とはいわゆる盆棚のことで、お盆に先祖の精霊をお迎えするために用意する棚のことです。
民俗学者の柳田國男によると、お盆に様々な精霊を迎える習慣は江戸時代以前からありましたが、江戸時代の檀家制度の導入により仏教と結びつきが強くなったとのこと。つまり盆棚は仏教と結びつく以前からお盆の時にだけ作っていた祭壇でしたが、それが常設化されていき建築技法が発達した江戸初期には庶民の家の中にも祀られるようになったということだそうです。
盆棚:出典kid.goo.ne.jp
位牌棚
位牌棚は文字通り位牌を祀るための棚で、日本最古の書院造りといわれる銀閣寺東求堂内の持仏堂に見ることができます。
持仏堂内では須弥壇とは別に床(棚)が設けられて位牌棚として使われてきました。
この建築様式は江戸時代以降の禅宗寺院で多く取り入れられ、禅宗建築に由来のある位牌棚も家の中に数多く作られました。
慈照寺(銀閣寺)東求堂(国宝)
仏壇に「寺院の小型化」「魂棚」「位牌棚」の流れがあることは日本の宗教土壌が多面的であることの表れです。
日本の宗教土壌は日本古来の土俗的な信仰文化の上に仏教的な考えや神道的な考えがミックスされており、その豊かな宗教土壌が仏壇に反映されています。
よって仏壇は仏教によって成立し、先祖供養や精霊供養によって広がったと言えるのではないでしょうか。