仏像 その1
仏像の歴史
仏像とは文字通り仏様の姿を表現した像のことですが、もともと初期の仏教の頃には仏像を作るという習慣はありませんでした。
お釈迦様は「自らを拠り所とし、法を拠り所とせよ」という基本理念を説いており、自分自身を信仰の対象とは考えていませんでしたが、お釈迦様が亡くなられた後、仏の教えを伝えるために図画化していくことになります。
お釈迦様の入滅後しばらくは、仏陀となった偉大なお釈迦様の姿を人の手で表現するのは恐れ多いと考えられており、釈迦の足跡や菩提樹、台座などでお釈迦様の存在を暗示していましたが、ガンダーラ地方(西北インド)とマトゥーラ地方(パキスタン)に仏教が伝わったころから仏像が盛んに作られていったとされています。
仏像の種類と代表的なもの
仏とは「悟りを開いた者」のことでもともとお釈迦様のことをいいますが、大乗仏教の発達とともに弥勒仏や阿弥陀如来などの様々な仏像が作られるようになりました。
仏像は、「如来」「菩薩」「明王」「天部」の四つのグループに分けられます。
如来(にょらい)
如来とは仏様の尊称で「如去如来」の略であり「真如の世界へ去り、また、真如の世界より来られし者」という意味で悟りを開いた人を表します。
釈迦如来(しゃかにょらい)
釈迦如来は現世でただ一人悟りを開いた人物、つまりお釈迦様のことをです。
有名なものは、京都嵐山にある清凉寺の釈迦如来像です。
昔、インドに37歳の時のお釈迦様の姿をかたどった像がありました。それが中国に伝わり、そして日本にも伝わったことから三国伝来の釈迦如来像と呼ばれています。
盧遮那仏(るしゃなぶつ)
盧舎那仏は蓮華蔵世界に住んでいる仏様で、蓮華座の上に座っているのが特徴です。
有名なものとして東大寺盧舎那仏(奈良の大仏)があります。東大寺の盧舎那仏は奈良時代に聖武天皇によって作られました。
薬師如来(やくしにょらい)
薬師如来は菩薩の時に十二の大願を立てて如来になったとされていて、東方浄瑠璃世界の教主であり、瑠璃光でこの世の病気から救うとされていて、無明の病を治す法薬を与える医薬の仏といわれています。
有名なものは奈良の薬師寺の薬師三尊像で、真ん中に薬師如来、向かって右手に日光菩薩、左手に月光菩薩が脇侍として祀られています。
阿弥陀如来(あみだにょらい)
阿弥陀如来の梵名は「アミターバ」といい、「量(はかり)しれない光を持つ者」をいみします。民衆を救うために王様の地位を捨てて法蔵菩薩と名乗って修業し、阿弥陀如来となって西方浄土で説法を行っています。
宇治の平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像は、リアルな感じがあって個人的にはとても好きです。
大日如来(だいにちにょらい)
大日如来は虚空にあまねく真言密教の教主で全宇宙のそのものとされている如来です。
平安時代に浸透した密教の最高仏として位置付けられていて、日本で古来からある山岳信仰と結びついて平安時代末期に富士山の本尊を大日如来とする信仰が創始されたとされています。
奈良県の円成寺にある大日如来像は、鎌倉時代の有名な仏師「運慶」の作品として有名です。