八大龍王

八大龍王(はちだいりゅうおう)とは、天龍八部衆に所属する龍族の八人の王さまのことです。法華経(序品)に登場し、仏法を守護する存在であり、古代インドではナーガという半身半蛇の形でしたが、中国や日本を経て現在の形になりました。

 

 

 

八大龍王

 

八大龍王それぞれに番号がふられており、順に紹介していきます。

 

 

1.難陀(ナンダ)

歓喜を意味し、難陀と跋難陀は兄弟竜王で娑伽羅(サーガラ:大海)竜王と戦ったことがあったそうです。

 

2.跋難陀(ウパナンダ)

亜歓喜を意味します。難陀の弟で難陀竜王と共にマガダ国を保護して飢饉なくし、釈迦如来の降生の時に雨を降らせ、説法の会座には必ず参加し、お釈迦仏入滅の後は永く仏法を守護しました。

 

3.娑伽羅(サーガラ)

大海を意味します。龍宮の王で大海龍王ともよばれています。法華経・提婆達多品に登場する八歳の龍女はこの龍王の第三王女で「善女(如)龍王」と呼ばれました。ちなみに弘法大師・空海が新しく名付けることになった清瀧権現も唐からついて来たこの娑伽羅龍王の娘だそうです。

 

4.和修吉(ヴァースキ)

「婆素鶏(ばすけい)」とも漢語に音訳され宝を意味します。陽の極まりである「九」、数が極めて大きく強力であるという意で「九」を冠し九頭とされることもあり、「九頭龍王(くずりゅうおう)」、「九頭龍大神」等 呼ばれることが日本では多く、九頭一身と言われ考えられるようになりました。元の伝説では千あることから「多頭龍王(たとうりゅうおう)」と呼ばれることも稀にあり、もともとは、須弥山を守り細龍を取って食べていたといわれています。

 

5.徳叉迦(タクシャカ)

多舌や視毒を意味します。徳叉迦が怒って凝視された時、その人は息絶えるといわれています。身延鏡と金光明経から七面天女は、タクシャカ龍王の娘とされています。

 

6.阿那婆達多(アナヴァタプタ)

清涼や無熱悩を意味します。阿耨達(あのくだつ)龍王とも呼ばれ、ヒマラヤの北にあるという神話上の池、阿耨達池(無熱悩池)に住み、四方に大河を出して人間の住む大陸 閻浮提(えんぶだい、贍部洲 せんぶしゅう)を潤すとされていました。800里にも及ぶ阿耨達池の岸辺は金・銀などの四宝で埋め尽くされていたそうです。龍王は菩薩の化身としてあがめられていました。

 

7.摩那斯(マナスヴィン)

大身、大力を意味します。阿修羅が海水をもって喜見城を侵したとき、身を踊らせて海水を押し戻したといわれています。

 

8.優鉢羅(ウッパラカ)

青蓮華や黛色蓮華池を意味し、青蓮華龍王とも呼ばれています。青蓮華を生ずる池に住んでいて、インドでは花弁や葉などの形状を比喩的に眼を現すことに使われますが、特に青睡蓮は美しい眼の喩えとして使われています。仏教では仏陀の眼は紺青色とされ、三十二相八十種好の一つ「眼色如紺青相」となっています。

 

 

 難陀龍王:Wikipedia

 

八大龍王=龍神?

 

八大龍王は雨乞いの神様として各地で祀られていますが、水を司る神様といえば龍神さまが有名です。同じ龍族であり、同じく水を司る神様なんですが、各地には様々な龍神さまがいて、その歴史や経緯や風習が違うので龍神さまは八大龍王とは全く別物なのですが、地域によっては八大龍王=龍神としているところもあるそうです。