僧侶が身に着けている袈裟の色に意味はあるの?僧侶の位によって衣の色が違う?

僧侶が身に着けている袈裟の色、赤や黒や紫色など様々な色をしていますが、これらにはどういった違いがあるのでしょうか?

 

色によって違いがあるのは袈裟ではなく衣の部分

 

まず初めに多くの人が「袈裟」と呼んでいる装いですが、実際は袈裟+法衣(ほうえ)と呼ばれる袈裟の下に身に着ける衣のことで、法衣の色は僧階や僧位と呼ばれる僧侶の階級によって異なってきます。

袈裟に関しては色による違いはなく、身に着ける法衣の色に合わせて本人が選んでいるとのこと。いわば個人のセンスということになります。

 

 

法衣の色

 

僧侶の服装はもともと、インドの僧侶が身に着けていた糞掃衣(ふんぞうえ)と呼ばれる使い道のなくなったぼろ布を縫い合わせて作られたものに由来します。(くわしくは袈裟を参照)

その時に在家信者と区別するために衣の色が定められられました。この時に基本となった色が壊色(えじき)と呼ばれる草木や金属の錆を使って染められ、黄土色や青黒色のような色をしていました。

 

 

これが、仏教が中国を経て日本に伝わる過程でそれぞれの国の文化や気候とともに法衣の色も変わっていきます。

日本の法衣は大きく、律衣(りつえ:奈良時代の法衣)・教衣(きょうえ:平安時代にできた法衣)・禅衣(ぜんえ:鎌倉時代にできた法衣)の三つに大きく分けることができます。

また、日本では推古天皇によって制定された「冠位十二階制度」以降、地位によって色分けがされ、国によって規定された色が重要なものとなります。

 

 

 

現在の各宗派では、緋色(ひいろ:黄色がかった濃い赤色)や紫色を上位の色と定めていることが多く、緋色や紫色の法衣は最上位の僧侶のみが身に着けることができます。

 

 

真言宗では、僧階により緋色→紫色→萌黄色→黄色→浅黄色となっており、茶色は僧階に関係なく着用します。

黒色の法衣は、日本で一番馴染み深いもので普段着として着用されています。

黒色はもともと最下位の色だったそうですが、浄土真宗では親鸞聖人が着用されており、浄土真宗の僧侶はこれを真似て黒色の法衣を着用するようになったそうです。

 

 

僧侶の階級を色で区別することには様々な意見がありますが、あくまでこれは役職上の色分けであり、仏さまの前ではみな平等であるということは言うまでもないことです。