お坊さんに渡すお布施とはそもそも何?
お葬式や法要の際に、僧侶の方にお布施をお渡ししますが、このお布施とはいったい何なのでしょうか?
お布施とは
仏教において彼岸(悟りの境地)に達することを波羅蜜(はらみつ)といい、悟りの境地に達するための六つの修行徳目を六波羅蜜といいます。
六波羅蜜には
布施(ふせ)・・・人に恵み、施しを与えること
持戒(じかい)・・・戒律を守り、自己を省みること
忍辱(にんにく)・・・苦しみに耐えること
精進(しょうじん)・・・努力すること
禅定(ぜんじょう)・・・心を落ち着かせ精神を統一すること
智慧(ちえ)・・・真実を見る眼を開き、全体を把握すること
があり、お布施はもともと仏教における修行のひとつです。
お布施の種類
私たちがお布施と聞くと僧侶やお寺に金銭を渡すことがまず思い浮かびますが、金銭を施すことは財施(ざいせ)といってお布施の中の一つであり、財施は金銭だけでなく食料や物品を施すことも含まれ、またモノを渡さなくても手伝いをしたりすることも財施であり、いわば見返りを求めない親切のことをいいます。
古代インドの僧侶である龍樹菩薩が著した「大智度論」によると、お布施には財施の他に法施(ほうせ)と無畏施(むいせ)があります。
法施とは、仏法を施すことで、お経を読んだり法話をすることによってお釈迦さまの教えを説き、人々が安らかな暮らしを送れるように祈ることで、財施が私たちがお寺や僧侶に対するお布施であることに対し、法施は僧侶が私たちに与えるお布施といえます。
無畏施とは、人に怖れを抱かせないこと、苦しみや不安を取り除いてあげることです。無畏施を行う者のことを「施無畏者(せむいしゃ)」といい、施無畏者の象徴として挙げられるのが観音菩薩です。観音菩薩は、衆生の苦しみの観て、声を聞き、救ってくださるとされており、衆生を救うために「三十三身」といわれる三十三通りもの姿になって現れるといわれています。人々にはそれぞれの苦しみや悩みがあって、その人に応じて姿を変えて救ってくださるというわけです。
つまり貧しい人には富を分かち与え、非力な人には力を貸し、知識のない人には知識を与え、人々の不安や恐怖を取り除いてあげることで、これはストレスの多い現代社会において最も重要なことではないかと思います。
お布施について本来の意味を理解することで、自分たちが生きる上で自分たちだけでなく周りの人々とともに豊かに暮らしていくことを考えるきっかけになるのではないでしょうか。