仏天蓋・人天蓋

天蓋

 

天蓋(てんがい)とは、仏像や住職が座っている上にかざす笠状の装飾具のことで、それぞれ仏像の上にかざすものを仏天蓋(ぶってんがい)、住職の座る上をかざすものを人天蓋(にんてんがい)といいます。

天蓋は元々、インドで強い日差しを避けるために使用した日傘でしたが、王侯貴族が用いる日傘は特に豪華に作られ、常に従者がこれを差し掛けて従い、権威の象徴の一種でもありました。これが仏教に導入され、帝釈天が常に天蓋を差し掛けて釈迦に従ったという伝説が形作られ、後には釈迦の姿から作られた仏像に用いる、天井から吊るす装飾具となりました。

 

天蓋は尊い者を守る蓋(ふた)であると同時に、「仏の徳が自ずから外に現れ出た徳そのものである」ともいわれています。よって天蓋は尊く素晴らしい徳を意味し、貴人、貴尊の象徴であるため、天蓋が豪華で美しい程その下に居る仏は徳が深く、偉大であることを表しています。そしてこの蓋は、蓋を見た者自身が徳を積み、自然と天蓋を差し掛けてもらえるような人物になって欲しいという願いも込められています。

 

 

天蓋の意味を知ると豪華な飾りつけのベッドも単なる飾りつけではないように思えてきます。