仏さまの智慧(ちえ)とは?
智慧(ちえ)
智慧とは、世の中のありとあらゆる出来事や、その背後にある真理を見極める働きのことです。古代インドの僧で、八宗の祖師と知られる龍樹菩薩は、著書の大智度論で、
「決定して知り、疑うところなきが故に名づけて智となす」
と記しており、智慧は仏さまの智であり真理そのものであると説いています。
知恵と智慧
私たち一般の人間にとっての知恵とは、頭のよさや判断力の意味であり、頭がいい人や判断力に優れた人のことを「知恵がある人」といいます。
一方、仏教における智慧とは頭の良さを指すことではなく、世の中の真理を知る頭の働きを指し、知恵は時代とともに変化しますが、智慧は普遍的なものです。
六波羅蜜
六波羅蜜(ろくはらみつ)とは、大乗仏教において悟りを開くために実践すべき6つの善行で、
1.布施(施し・親切)
2.持戒(戒律を守る)
3.忍辱(忍耐)
4.禅定(精神統一)
5.精進(努力)
6.智慧(修養)
であり、智慧は他の5つの拠り所となるものです。
この波羅蜜を実践することによって、真理を見極め真実を認識する力を得ることができます。
人間は誰もが生まれながらにして仏さまと同様の心を持っていますが、煩悩が強くなると、知恵だけで物事を考えてしまいます。知恵ではなく智慧を得て人間にとって本当に何が幸せかを考えること重要ではないかと思います。