お香の原料(漢薬系)

お香の原料は漢薬系のものとフローラル系のものがあります。

漢薬とは、漢方医学で用いられる薬物のことで、フローラル系は、花を原料にしたもののことです。ここでは漢薬系の原料について代表的なものを紹介したいと思います。

 

安息香(あんそくこう)

タイ・インドネシアが原産のエゴノキ科の安息香樹の樹脂で、香料としての他に呼吸器系の薬効があるとされています。

 

鬱金(うこん)

ショウガ科ウコン属の多年生草本の根茎で、染料やカレー粉の原料としても有名です。平安時代には、五香の一つに数えられていました。

伽羅(きゃら)

 

沈香の一種でその最上品とされています。主産地はベトナムで1990年代以降は良品不足が目立っています。

 

桂皮(けいひ)

 

クスノキ科の常緑高木の樹皮でスリランカ産のものをシナモン、中国・ベトナム産のものをカシアと分けて呼んでいます。

麝香(じゃこう)

 

ジャコウジカの雄の分泌物で数少ない動物性の香料です。ジャコウジカがワシントン条約の規制を受けているため、麝香は現在、非常に高価で貴重なものとなっています。

 

菖蒲根(しょうぶこん)

 

アジア北部原産のサトイモ科の植物の根で、刻・粉末にして使用しますが精油もされています。

 

沈香(じんこう)

 

東南アジア産で、沈丁花科アキラリア族の喬木の内部にまれに樹脂が沈着するものがあり、その部分を切り出したものが沈香で、沈水香木を略して沈香と呼ばれています。常温では香りは強くないですが、加熱すると幽玄な香りを発します。

 

青木香(せいもっこう)

 

インド・中国産のウマノスズクサの根で、防虫効果を生かして匂袋などに使われます。

 

大茴香(だいういきょう)

 

八角やスターアニスとも呼ばれ、スパイスや防腐剤として使用されています。また健胃剤としての薬効もあります。

 

丁字(ちょうじ)

 

フトモモ科の常緑高木の花蕾で、乾燥させて使用します。胡椒と並ぶ代表的なスパイスの一つです。

 

白檀(びゃくだん)

 

インド原産の香木で、仏像や扇子、数珠など工芸材料としても幅広く使用されています。

インドのマイソール地方で産出されるものは老山白檀と呼ばれ特に貴重なものとされています。

龍涎香(りゅうぜんこう)

 

マッコウクジラ(抹香鯨)の腸内に発生する原因不明の結石で、ロウ状の物質であり麝香とともに動物性香料の双璧であります。媚薬としても用いられています。

 

零陵香(れいりょうこう)

 

サクラ草科の草本で香料の他にスパイスとしてカレー粉などに使用されます。