護摩行(ごまぎょう)とは?密教における火を使った荘厳で神秘的な儀式
護摩
護摩(ごま)とはサンスクリット語で「供物を捧げること」「犠牲」「いけにえ」を意味するホーマを日本語に訳したもので、火を使って行う儀式のことです。
もともとは古代インドのバラモン教の宗教儀式でしたが、大乗仏教の密教が発展する過程で取り入れられました。よって護摩行は密教にのみ存在し、日本では天台宗や真言宗などの密教系の宗派でのみ行われています。
護摩行の種類
護摩行には、自分自身を護摩壇に見立てて、仏さまの智慧の炎で自分の心の内なる煩悩に火をつけ焼き払う「内護摩」と、護摩壇に火を点け、火の中に供物や護摩木を投じて祈願する「外護摩」があります。
また、それぞれの目的によって次のように分類されます。
- 息災法(そくさいほう)…災害のないことを祈るもので、旱魃、強風、洪水、地震、火事をはじめ、個人的な苦難、煩悩も対象。
- 増益法(そうやくほう)…単に災害を除くだけではなく、積極的に幸福を倍増させる。福徳繁栄を目的とする修法。長寿延命、縁結びもその対象。
- 調伏法(ちょうぶくほう)…怨敵、魔障を除去する修法。悪行をおさえることが目的であるから、他の修法よりすぐれた阿闍梨がこれを行う。
- 敬愛法(けいあいほう)…調伏とは逆に、他を敬い愛する平和円満を祈る法。
- 鉤召法(こうちょうほう)…諸尊・善神・自分の愛する者を召し集めるための修法。
護摩行は近年、スポーツ選手の間で精神修行の一環として取り入れられており、テレビでプロ野球選手が燃え盛る炎の前で一心不乱に祈願する姿を見かけたことがある人も多いと思います。