お香文化の歴史4 江戸時代~現在

戦国時代末期から江戸時代になると、徳川家をはじめとする大名が香木の収集をはじめます。これは掛け軸や茶道具の収集とも似ていますが、この風習は町人にも広がり、香を楽しむという流れが広い階層の人々の間に生まれます。

こうした流れの中で志野流や御家流などの香道の流派が生まれます。そして、香道具が作られ、香の作法が完成していきました。

 

 

線香の普及

 

江戸時代のお香文化において、大きな変化をもたらしたのが線香の普及です。

線香の登場は、仏前での香供養を気軽で簡単に行うことを可能にしました。

線香は室町時代には中国から伝来していたとされていますが、当時は贈答用の高級品でした。

日本では17世紀前後に製法が伝わり、生産が開始されました。 国産線香の起源については諸説あり、西川如見が1720年に著した『長崎夜話草』などによれば、五島一官という人物が中国の福州から製造法を伝え、1667年頃に長崎で造り始めたとされています。

そして堺で線香の形状が発明され、一般に用いられるようになったのは17世紀後半から18世紀初期といわれています。

 

堺は線香の一大生産地となり戦前には全国生産量の60%を占めていましたが、堺の職人が淡路島で製法を教え、昭和30年代には淡路市が全国一の生産量になり、現在は全国生産量のうち70%を占めています。