仏像その3(明王・天部)

その2からの続き

 

明王(みょうおう)

 

明王は密教信仰特有の仏神で、悪魔を撃退する「仏の知恵を身につけた偉大な人」の意味があり、大日如来の命を受けて、仏教に未だ帰依しない民衆を帰依させる役割を担っています。

仏教に帰依しない民衆を力づくでも帰依させるために大日如来が自ら変化したものであるという説もあり、そのため、仏の教えに従順でない人に対して恐ろしげな姿形と激しく怒った形相をしているのが特徴です。

 

不動明王(ふどうみょうおう)

不動明王のモデルはヒンドゥー教の最高神シヴァ神であるという説が有力で、空海(弘法大師)が中国から密教を伝えた際に、日本に不動明王の図画が持ち込まれたとされていて、その空海が胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)の象徴として重視したことから民衆の間に信仰が広まりました。

なお真言宗(東密)では不動明王をはじめ、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王の5つを五大明王といいます。

日本一高い木造の五重塔がある京都の東寺には五大明王が全て祀られており、これらは平安時代につくられた日本最古の明王像とされています。

 

天部(てんぶ)

 

天部は天界に住む者の総称で、古いインド神話の神々などの仏教以外の神が仏教に取り入れられて護法神となったものです。梵語ではデーヴァといい、これは「神」を意味していて、キリスト教のデウスやギリシャ神話のゼウスと同じ起源だとされています。

 

帝釈天(たいしゃくてん)

帝釈天は梵名をインドラといい、古代インドでは阿修羅と戦ったといわれる武勇の神でしたが、仏教に取り入れられ、悟りを開く前から釈迦を助けて、また釈迦の説法を聞いていたことから仏教の護法神となりました。古代インドの中心にそびえるとされる須弥山(しゅみせん)の頂上の喜見城に住んでいるとされていて、阿修羅の娘である舎脂が奥さんだそうです。

帝釈天といえば、映画「男はつらいよ」で有名な柴又帝釈天。題経寺というのが本当の名前ですが、帝釈堂にある帝釈天は「板本尊」と呼ばれていて、全国的にも珍しい板に彫刻された帝釈天を祀っています。

 

 

梵天(ぼんてん)

梵天はバラモン教の神の一つであるブラフマーが仏教に取り入れられたもので、ブラフマーは古代インドで万物の根源とされたブラフマンを神格化したものです。ブラフマー・ヴィシュヌ・シヴァがヒンドゥー教の三大神となっています。

梵天は帝釈天と一対で祀られることが多く仏教における二大護法神といわれています。

ちなみに戦国武将伊達政宗の幼名「梵天丸」はこれが由来です。

東寺にある4羽の鳥の上の蓮華座に座っている梵天の木像が国宝認定されています。

 

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四天王(してんのう)

四天王は須弥山の四方を守る守護神で、古代インドで各方角を守る神様とされていたものが仏教で取り入れられたとされています。

東の守護神持国天(じこくてん)は領土を守り、南の守護神増長天(ぞうちょうてん)は五穀豊穣を司ります。西の守護神広目天(こうもくてん)は千里眼をもち世の中を観察して人々を導き守ります。多聞天(たもんてん)は北の守護神で財産富貴を司りますが、多聞天だけは独尊で祀られることもあり、その時は毘沙門天(びしゃもんてん)と呼ばれます。

有名なのは東大寺の戒壇堂(かいだんどう)の西側境内にある四天王像。ちなみに写真撮影禁止で下はポスターです。

 

 

八部衆(はちぶしゅう)

 

八部衆はお釈迦様の従者であり、天、竜、夜叉、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩睺羅伽(まこらが)の8人のことです。

 

天は梵天、帝釈天を初めとする、いわゆる「天部」の神の総称のことで、欲界の六天、色界の四禅天、無色界の四空処天のことです。古代インドにおける諸天の総称で天地万物の主宰者のことです。

 

竜は「竜」、「竜王」などと称される種族の総称です。 蛇を神格化したもので、水中に棲み、雲や雨をもたらすとされいてお釈迦様の誕生の際、灌水したのも竜王であったとされています。

 

夜叉

夜叉は古代インドの悪鬼神が仏法に帰依して護法善神となったものです。空中を飛行します。

 

乾闥婆(けんだつば)

乾闥婆は香を食べるとされ、神々の酒ソーマの守り神のことをいい、 仏教では帝釈天の眷属の音楽神とされています。

 

阿修羅(あしゅら)

阿修羅は古代インドの戦闘神のことで、インド・イラン共通時代における中央アジア、イラン方面の太陽神が起源とも言われています。通常、三面六臂(顔が3つで腕が6本)に表します。

 

迦楼羅(かるら)

迦楼羅はガルダを前身とする、竜を好んで常食するという伝説上の鳥のことで、鷲の如き獰猛な鳥類の一類を神格化したものです。

 

緊那羅(きんなら)

緊那羅は音楽神であり、また半身半獣の人非人ともいいます。人にも畜生にも鳥にも当てはまらず、仏教では乾闥婆と同様に帝釈天の眷属とされ、美しい声で歌うといわれています。

 

摩睺羅伽(まこらが)

摩睺羅伽は緊那羅とともに帝釈天の眷属の音楽神といわれていて、廟神ともいわれます。身体は人間ですが首は蛇で龍種に属しており、大蛇(ニシキヘビ)を神格化したものです。

 

八部衆の中で一番有名なのはおそらく奈良の興福寺にある阿修羅像ではないかと、このビジュアル、文句なしにカッコイイです。

そういえば、筆者が子供の頃にとても流行ったマンガ「キン肉マン」の中の人気キャラクターにアシュラマンというのがいましたね。

 

 

 

 

さて、代表的な仏像について紹介させてもらいましたが、たくさんありすぎてキリがありませんのでこのくらいで、、、興味がわいたならぜひご自身で仏像巡りをしてみるのも楽しいかもしれませんね。